以前から著者である田中泰延(ひろのぶ)さんのことを、よく拝読しているウェブサイトなどで知っていたのですが、なんとなくこの本を手にし、読んでみたことで、自分の文章を書く際の心持が大きく変わりました。
以下にこの本を読んで学んだことや思ったことを書いていきます。
「書きたいことを、書けばいい」わけではない理由
この本をたった一言で要約しろと言われたら、「調べろ」です。
もっと言えば「自分が『この対象についてもっと知りたい!』と思った事柄について、徹底的に調べ上げ、その内容を淡々とまとめ上げなさい」、ただそれだけです。
でもその過程の中で自然と、自分の調べた対象への愛情や敬意、この対象の何をどう面白いと感じたかなどが、まとめられた文章の中に納まっていくとのこと。
そして自分以外の人に読んでもらったら、自分と同じように「面白い」と思ってくれる人が出てくることもある、と。
自分の文章が、そういう人たちに出会わせてくれることで、自分を取り巻く世界は広がっていくと、泰延さんはおっしゃってます。
「書きたいことを書く」だけでしたら、それはただの独りよがりになりかねません。
でも、誰にでも分かる客観的事実を冷静に並べ立てていくと、他人にも面白いと思ってもらえる文章が出来上がるのです。
「調べて書く」ノウハウを楽しく学べる
といってもこの本は、決してお堅くはありません。
泰延さんの持ち前のユーモアあふれる口調で、楽しく、ところどころ抱腹絶倒しながら読み進められます(なので人前で読むときは注意が必要です)。
「はじめに」から「おわりに」まで、あらゆる場所に笑いどころが詰め込まれております。
(特に「おわりに」の最後のページは、絶対にすべて読み終えてから開くことをお勧めします)
1時間半から2時間でスイスイ読み進められながらも、文章を書く上で大事なことを学べるスゴい本です。
まとめ
この本を読んで以来、一つの物事を徹底的に調べることに対して意識的になりました。
以前、論文を書くのに行き詰まったとき、この本で学んだことを思い出して徹底的に一次資料に当たりなおしたことで、新たな知見を得て、論文を書き上げることができました。
「書きたい」と思った対象について、資料を調べて知識が増えていくうちに対象への敬意や愛情も増していきますし、書く文章にも更なる熱が入っていくと思います。
その大切さを教えてくれる本です。
文章を書いてみたいと思う人、書かなきゃいけないけど書けない人、書いているけど行き詰まっている人など、すべての書く人にお勧めしたい本です。