コロナ禍に入って1年半がたちました。この間に私たちの生活は大きく変化しました。不動産絡みで大きく変わったことと言えば、在宅ワークの浸透によって都心のオフィス需要が下がり、求められる住宅のタイプが従来と違ってきたことでしょうか。それでは、コロナ禍に入ってすぐの2020年の春と2年目の2021年春を比べると、どのような変化があったのでしょうか。旭化成のホームページにレポートがあったので紹介します。
東京都の人口は20年7月から21年2月まで8カ月連続で転入を転出が上回りました。年間で約2万3000人の転出超過です。東京23区から東京都下、神奈川県、埼玉県、千葉県に人々の移動がみられたそうです。3月の東京23区のマンション平均家賃指数は、ファミリータイプで20年の3月から0・8%の上昇、大型ファミリータイプで3・1%の上昇でした。この間に分譲マンションの平均価格は7712万円で11・4%上がっており、マンション価格の高騰が東京の賃貸物件の上昇につながったとみられると分析しています。
「大型ファミリー」は上昇
23区のシングル用、カップル用の賃貸物件の相場は20年の3月と比べて下落しました。20年が大きく上昇していたので、その反動で下がって見えるものの、19年と比べれば上昇しているそうです。
東京都下は全てのタイプで価格が20年の3月より上昇しました。中長期で見ると、カップル層やファミリー層が15年からほぼ横ばい、シングルはやや下落傾向のようですね。ちなみに神奈川県では大型ファミリータイプで12・9%上昇しました。埼玉県も千葉県も大型ファミリータイプは上昇しました。
こうした結果から、コロナ禍2年目の春の家賃相場は、各都県で多くのタイプが横ばいながら、特に郊外の大型ファミリータイプは大きく上昇したところがあると分かりました。コロナ禍では、自宅で働くようになると、都心への通勤時代を気にせず、むしろより広く部屋数の多い物件が求められていると言われていますから、そうした需要の高まりから相場が上がったという理屈に合致しますね。